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SEKKEIYA — Vision Document
Published 2026
建築・インテリア設計の現場に根ざし、テクノロジーで設計の構造的限界を突き破る。 SEKKEIYAが何を目指し、なぜそれを作るのか——この文書はその問いへの答えだ。
Contents
01
問いの始まり
02
原点——Rhinoの小さな不満から
03
SEKKEIYAとは何か
04
アーキテクチャ——三層構造のエコシステム
05
なぜ「OS」という比喩なのか
06
設計者の役割が変わる
07
現在地と、これから
Contents
01
問いの始まり
02
原点——Rhinoの小さな不満から
03
SEKKEIYAとは何か
04
アーキテクチャ——三層構造のエコシステム
05
なぜ「OS」という比喩なのか
06
設計者の役割が変わる
07
現在地と、これから
建築やインテリアの設計に長く携わってきた人間なら、一度は同じ問いに突き当たるはずだ。
「最高の提案とは、いったい何か」
答えは、ある意味でシンプルだ。最高の提案とは、考えられる限りすべての可能性を検討し、その中で最後まで生き残った1案のことだ。何百、何千の選択肢と向き合い、比較し、潰し、削ぎ落とした末に残ったもの——それだけが、本当に「これしかない」と言える提案になる。
しかし現実はそうではない。設計者が1日で作れる案は、せいぜい1案か2案だ。人間の認知能力と時間には、限りがある。締め切りが迫り、他の業務が重なる中で、設計者は「考えられた範囲」の中から提案を出す。それは決して怠慢ではない。構造的な限界だ。
この限界を、テクノロジーで突き破れないか——それがSEKKEIYAを作り始めた動機だった。
壮大な問いは、しかし、小さな不満から始まった。学生時代からRhinoを使い続けてきた。3Dモデリングツールとして、Rhinoは表現の自由度が高く、今も大好きなツールだ。ただ、インテリア設計の場面でRhinoを使おうとすると、ある作業が繰り返し発生することに気づいていた。
家具の3Dモデルを図面に挿入する作業が、思いのほか手間だ。
「ここにソファを置いたらどう見えるか」「このテーブルのサイズ感は合っているか」——そういった検討を素早くやりたいのに、モデルを探して、インポートして、スケールを合わせる作業が毎回発生する。たった一つの家具を試すだけで、思考のリズムが途切れる。
だったら、ワンクリックで挿入できればいい。そのシンプルな発想から生まれたのがS.Modelだ。家具の3DモデルをRhinoにワンクリックで挿入できるツール。これが今のSEKKEIYAの原点であり、最初の「子アプリ」になった。
しかしS.Modelを作りながら、問いはより大きく広がっていった。単に挿入を楽にするだけでなく、設計の可能性そのものを広げるツールが作れないか、と。
SEKKEIYAは「建築・インテリア設計者のためのAIプラットフォーム」と説明することが多い。ただ、その本質をより正確に表現するなら、こう言いたい。
SEKKEIYAは、設計に特化したAI OSだ。
OSとは何か。それは、個々のアプリケーションを束ね、ユーザーとアプリの間に立って、リソースを適切に配分し、体験を統合するシステムだ。スマートフォンのOSを想像してほしい。iOSやAndroidは、カメラ、マップ、メッセージ、決済——多種多様なアプリを動かす基盤として機能している。
SEKKEIYAの構図もそれに近い。ただし、決定的な違いが一つある。SEKKEIYAでは、アプリの取捨選択と実行を、AIエージェントが担う。
設計者が「この空間の提案書を作りたい」と語れば、SEKKEIYAのAIが判断する。今何が必要か。どのアプリを起動するか。どの順序で処理するか。外部サービスとどう連携するか。設計者は意図を伝えるだけでいい。プロセスはAIが組み立てる。
SEKKEIYAは三つの層から成り立っている。
中心に位置するのがSEKKEIYA AIだ。これはOSのカーネルに相当する。設計者の意図を解釈し、必要なツールやアプリを選択・実行し、それらの出力を統合して、最終的な成果物へと導く。
重要なのは、AIが単なる「検索エンジン」や「補助ツール」ではないという点だ。AIは実行者だ。どのアプリを使うか、どの外部サービスに問い合わせるか、どの順序でタスクを処理するか——それを自律的に判断し、行動する。
AIが操作する道具として、複数の子アプリが存在する。子アプリは設計プロセスの各フェーズに対応している。
S.Model:3Dモデルの管理・共有・Rhinoへの挿入
S.Layout:家具配置とレイアウトのキャンバス
S.Slide:提案書・ダイアグラムの作成
S.Create:造作家具のパラメトリックビルダー
AI 3D Generate:テキスト・画像からの3Dモデル自動生成
このリストは固定ではない。設計業務の中で新たな「手間」や「不可能」が見つかれば、それを解決する子アプリが追加される。OSがアップデートされるように、SEKKEIYAは子アプリを積み重ねながら成長していく。設計フローの理想形はこうだ。
このフローをAIが一気通貫で走らせる。それがSEKKEIYAの目指す姿だ。
三番目の層は、SEKKEIYAの長期的な可能性を定義する。まず、外部サービスとの連携だ。AIレンダリングツール、BIMソフトウェア、施工管理システム、クライアント向けプレゼンテーションプラットフォーム——設計業務を取り巻くサービスは多岐にわたる。SEKKEIYAはこれらと接続し、AIエージェントがそれらも適切に活用できる環境を整えていく。
そして、ユーザー自身によるプラグイン開発だ。これが、SEKKEIYAを「ツール」から「OS」へと昇格させる最後のピースだ。特定の設計事務所のワークフロー、特定の材料メーカーのカタログ連携、特定のクライアント向けの提案フォーマット——そういった個別ニーズに対して、SEKKEIYAはプラットフォームとして開かれていたい。ユーザー自身が機能を追加し、自分のワークフローに最適化されたSEKKEIYAを育てる。そのエコシステムが生まれたとき、SEKKEIYAは設計業界のインフラになる。
単一の設計ツールと、OSの違いは何か。それは「汎用性」と「拡張性」だ。AutoCADはCADツールだ。Rhinoは3Dモデリングツールだ。どちらも卓越したツールだが、それぞれ特定の目的のために最適化されている。設計者はこれらを組み合わせながら、手作業でワークフローを組み立てる。
SEKKEIYAは特定の作業のためのツールではなく、設計という行為全体を支える基盤だ。
どんな設計タスクが来ても、AIが適切なアプリや外部サービスを組み合わせて対応する。設計者が「こういう空間を提案したい」と思ったとき、それを実現するためのプロセスをSEKKEIYAが構築する。
スマートフォンが登場したとき、それは「電話に機能が追加されたもの」ではなかった。電話、カメラ、地図、支払い——それらを束ねる新しいプラットフォームの誕生だった。SEKKEIYAも同じように、設計ツールの延長ではなく、設計業務のための新しいプラットフォームとして存在したい。
SEKKEIYAが目指す世界では、設計者の仕事の重心が変わる。今日の設計者は、多くの時間をツールの操作に費やしている。ファイルを探し、モデルをインポートし、スケールを合わせ、レンダリングを待ち、提案書のレイアウトを整える。これらは本来、設計者が本質的にやりたいことではない。
設計者が本当にやりたいのは、考えることだ。
空間を構想し、素材の組み合わせを想像し、クライアントの生活を思い描き、可能性を探ること。それが設計という行為の核心だ。SEKKEIYAはその核心に集中できる環境を作る。操作はAIに任せ、設計者は意図と判断に専念する。
「この方向でいい」「もっと開放的にしたい」「予算を抑えたい」——そういった設計者の声に、AIが応え、空間の可能性を広げていく。何千もの配置パターンを試し、最高の1案を選ぶ——それが一人の設計者に可能になる。
SEKKEIYAはまだ成長途上のプロダクトだ。現在の姿は、ビジョンの一部を実装したものに過ぎない。AIが全フローを自律的に走らせる段階にはまだ至っていない。しかし、基盤となる子アプリ群は着実に育ちつつあり、設計者が実際に使える状態になってきた。
開発の方針は一貫している。完璧を待たず、実際に使われる状態で届け、現場のフィードバックから学び続ける。ツールは使われて初めて改善できる。設計の現場で本当に必要なものは、現場から教わる。
そして、SEKKEIYAを最初に使い倒す人間は、開発者自身だ。自分のコンペ、自分のクライアントへの提案に、SEKKEIYAを使う。それが最も正直な検証であり、最も強い動機になる。
AIによる設計OS——その構想の実現に向けて、SEKKEIYAは動いている。
SEKKEIYA is built by a designer, for designers.